「白山道刈り」に向けて

石徹白では昔から、白山への登山道の草刈りを行ってきました。

 

昭和54年までは、地域の奉仕活動として、地域住民が持ち回りで行っていたそうです。

それ以降は、奉仕活動での維持が難しくなったため、特定の方たちが行う委託作業として、毎年続けられてきました。

 

近年は、70代のKさんが

ほとんど1人でやってこられました。

Kさんは80近いお年とは思えないほど、

若々しく、元気な方ですが、

さすがに1週間近く山に通って、草刈りをするのはしんどくなってきたのこと。

そこで、そのKさんから、今年引き継ぐことになったのが、夫です。

 

引き継ぐとはいえ、いきなり1人ではできないので、今年はKさんも一緒に道刈りをし、作業の詳細を教えてくださるそうです。

 

 

道刈りに向けて、自治会長さんから「石徹白から別山への道」という本をお借りしました。

 

この本の中に「道刈り編」という項目があり、昭和25年の道刈りの様子が記されています。

 

 

その年の道刈り参加者は総勢27名とあり、そんな大勢で行くの?と不思議に思いましたが、

読み進めていくと、2泊3日の行程で、持ち物は「鎌・鉈・手鋸・研石」とあり、ようやく

(そうか、当時は草刈り機なんてないから、みな鎌で草を刈っていったんだ・・・)と思い至りました。

 

その他の持ち物として、2泊3日の食糧(当日昼までの弁当と、夕食以降の自炊用品・・・自炊する甲斐性のない物は、2日分を握り飯などにしたから大変な量の荷物になった)、水筒、着替え、1泊は野宿のため雨具(カッパなどないため、立茣蓙か胴蓑)、防寒具、そして、先ほどの鎌などの作業用具。こんな大荷物を背負い、山を登りながら、鎌などで草を刈っていたんだと、本当に昔の人たちは大変な苦労をして、この道刈りを続けていらしたのだと、感服します。

 

 

Kさんのお話では、1人で刈る場合、通いで10日前後、山小屋に泊まる場合はもう少し短い日数でできるそうです。風雨の強い日や雷のときはできなかったり天候にも大きく左右されるそうです。

今年は2人で刈るので、山小屋に泊まってやったほうが効率が良いとのこと。

 

7月24日は「白山清掃登山」が行われます。

これは、山小屋の整備や外来種のオオバコという草の除去、石徹白大杉までの階段の清掃などを行うボランティア活動です。毎年、石徹白の住人だけでなく、石徹白外の方にも参加していただいています。

 

この「白山清掃登山」の前までに、道刈りを終えなくてはなりません。

天気を見ながら、この2週間の間に作業を行う予定です。

 

登山道はそれほど危険な箇所はありませんが、携帯は通じない場所ばかりですし、

もちろん熊がいます。

Kさんは何度か遭遇したことがあり、「あれは、別にそう怖いもんではないなぁ」とおっしゃっていたそうですが、遭遇しないに越したことはありません。

無事に何事もなく、道刈りを終えてくれることを祈るばかりです。